ファクタリングの買取可能額や限度額とは? 調達可能な額を知るカギは業者の資金力と掛目・手数料
公開日:2020.06.01
最終更新日:2022.03.28
ファクタリング会社の広告には「最高3億円まで買取可能」「少額5万円から現金化」などとアピールするところがたくさんあります。しかし、実際に3億円の売掛金があってもその全額を買い取ってもらえることはありません。今回は調達可能な額を決定づけるポイントについて、買取可能額とともに最低限度額についても取り上げてご紹介していきます。
買取可能額や限度額を決める大きな要素とは? 大きく影響するファクタリング会社の資金力や事業規模
買取可能額や限度額が決まる最も大きな要素は、ファクタリング会社の資金力や事業規模となります。ファクタリング会社は大きく以下の3種類に分けることができますが、それぞれ資金力や事業規模が異なります。
・銀行系ファクタリング会社
・独立系ファクタリング会社
この3種類の中で最も大きな資金力と事業規模があるのが、「銀行系ファクタリング会社」です。銀行系ファクタリング会社には3大メガバンクや大手地銀から小規模な地銀までその規模は様々です。
どの会社も親会社の資金力の大きさを活かした事業展開をおこなっており、ノンバンク系や独立系よりも買取可能額が大きくなる傾向があります。特に3大メガバンク系のファクタリング会社には億単位の買取りをおこなうところや他の系列のファクタリング会社では取り扱われていない国際ファクタリングの対応が可能なところもあります。
ノンバンク系ファクタリング会社の場合、大手ノンバンクから中小のノンバンクのグループ傘下の会社まであります。大手ノンバンク系列の中には大手都銀なみの規模を誇る会社もあり、買取可能額も大きくなります。
独立系ファクタリング会社の場合は比較的小規模な会社が多くなっています。そのため買取り可能な下限額をできるだけ小さくして、小規模な会社の資金ニーズに応える戦略をとる会社が多く見られます。例えば、「少額5万円から買取り可能」などと宣伝するファクタリング会社の場合は独立系ファクタリング会社が多くなる傾向があります。
額面全額が買い取られる訳ではない売掛債権! 限度額の決め手は「掛目」と「手数料」
売掛債権は額面金額が満額で買い取られる訳ではありません。買取可能な額の上限や下限にはファクタリング会社の資金力や事業規模が影響しますが、実際の限度額を決める要素としては「掛目」と「手数料」があります。例えば、3億円まで買い取り可能としている会社に3億円の売掛金を持ち込んでも、額面通りの3億円が調達できるわけではありません。
実際に調達可能な限度ですが、売掛債権の額から掛目と手数料、さらに必要に応じて登記費用などが差し引かれた金額となります。売掛債権の額と掛目との差額は「一時仮押さえ金」として扱われ、契約内容によっても異なりますが、通常はファクタリング会社が売掛債権を全額回収した後で戻ってきます。
尚、掛目と手数料の一般的な相場は以下の通りです。2社間ファクタリングのほうが3社間ファクタリングよりもファクタリング会社が負うリスクが大きくなるため、そのリスクが掛目や手数料に反映されています。
【掛目の相場】
・2社間ファクタリングの場合:70%~80%
・3社間ファクタリングの場合:80%~90%
【手数料の相場】
・2社間ファクタリングの場合:10%~30%
・3社間ファクタリングの場合:5%~10%
例えば、売掛金1,000万円で掛目80%と手数料5%という条件の場合、実際に買取可能な上限額は以下のようになります。
・掛目相当分の計算:800万円=売掛金1,000万円×掛目80%
・手数料の計算:50万円=売掛金1,000万円×掛目5%
・一時仮押さえ金の計算:200万円=売掛金1,000万円‐掛目相当分800万円
・ファクタリング契約直後に調達可能額の計算:750万円=掛目相当分800万円‐手数料50万円。
上記の調達可能な額については、ファクタリング会社が売掛金を回収した後に入金される「一時仮押さえ金」の200万円を含めると合計で950万円になります。
少しでも買取可能な額を増やす方法はあるのか?
少額ファクタリングの場合には買取り下限額が小さいファクタリング会社が対応してくれますが、買取可能な額を大きくすることは可能なのでしょうか。実は少しでも資金調達可能な額を引き上げる方法はあります。その方法について見ていきましょう。
取引方法を2社間から3社間へ変更する
2社間ファクタリングを検討しているなら、3社間ファクタリングに変更すると資金調達ができる額が大きくなることが考えられます。3社間ファクタリングのほうが2社間ファクタリングよりも、掛目は大きくなり、手数料が低くなるからです。その主な理由は売掛金の入金分がファクタリング利用企業から支払われず、未回収リスクが高くなる2社間ファクタリングよりも直接入金される3社間のほうがファクタリング会社にとっての資金未回収リスクが低くなるためです。
取引回数を増やす
ファクタリングの掛目は初回の利用時よりも2回目、3回目と取引回数を増やすことで一種の信用履歴ができます。何度か取引して入金もしっかりとおこなう誠実な会社であるとわかれば、それだけ未回収リスクが下がり、掛目が大きく設定される場合が多いからです。ただし、過去の取引履歴は業者間で共有されないため、一つのファクタリング会社で取引を継続させる必要があります。