ファクタリング関連の犯罪情報
公開日:2020.06.04
最終更新日:2022.03.28
ファクタリングは銀行融資を断られたような零細企業や事業主にとっては広く利用されている資金調達方法です。しかし、中にはこのような企業や事業主が資金繰りに困っている状況を食い物にして暴利を貪っている事件が起きています。そこで実際に発生し逮捕者まで出ている事件の例をいくつか簡単にご紹介していきます。
偽装ファクタリングによる闇金業者初の逮捕事例(2017年)
この事件は2017年にファクタリング業界で初めて起きた逮捕事例になります。この事件では、偽装ファクタリングにより売掛債権の買取りを装って実際には高利貸しの闇金業を営んでいた東京中野区の2つの業者が大阪府警によって摘発され、元経営者を含む8名が逮捕されました。
逮捕容疑は貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで、表向きはファクタリング会社として営業していましたが、実際には違法な高金利による貸付をおこなっていました。貸金業登録を行なっていないにもかかわらず、2016年5月以降に堺市と三重県鈴鹿市の会社経営者に40万円から50万円の貸し付けを行なった容疑です。容疑者らはファクタリングとしての売掛債権を売買したものであり、貸金業登録の必要性がないと容疑を否認していました。
さらに別の容疑として摘発された「東洋商事」と「MINORI」は資金繰りが悪化していた中小企業250社に対して総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得ていたという疑いもありました。
また、この時逮捕された容疑者は、2003年7月にも逮捕の前科がありました。そのときは闇金融業を運営して法定利息の50倍の利息を搾取していましたので、2003年と2009年の貸金業法施行後に闇金業者からファクタリング業者に鞍替えしたことがわかってい
偽装ファクタリングによる闇金業者の逮捕事例(2019年)
こちらの事件も2019年に起きた偽装ファクタリングによる元闇金業者の逮捕事例になります。東京都内のコンサルティング会社「高橋企画」はファクタリング業として売掛債権の買取りを装い、実際には高金利での貸付けをおこなう闇金業を営んでいたとして、同社社長の男ら11人が貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで千葉県警と岩手県警の合同捜査本部により逮捕されました。
表向きは売掛債権を買い取るファクタリング業でありながら、実際には債権を買い取りませんでした。その代わりに売掛債権を担保として貸付けをおこない、手数料という名目で法外に高い利息を受けていました。
闇金業者の偽装ファクタリング事件増加の背景
闇金業者によるこのような偽装ファクタリング事件が増加しています。この背景には2003年と2009年に改正された貸金業法を機にそれまで闇金業者として営業していた業者がファクタリング業界に鞍替えしてきたことがあります。
貸金業法が改正されたきっかけとなったのは、それ以前に法定利息をはるかに超える利息で現金貸付けをおこない、暴利を貪っていた闇金業者が社会問題になったことです。貸金業法が改正されると一部の限られた企業だけに貸金業の事業運営が認められ、登録できない多くの闇金業者が摘発され、その数が激減しました。
このような元闇金業者は稼ぐ場を失いましたが、その後に貸金業に比べると法的な縛りが緩いファクタリングに目をつけるようになったのです。特にファクタリング契約において売掛先企業といった第三者が介在しない2社間ファクタリングを装い、相場よりもはるかに低い手数料で顧客を釣りあげる被害が見受けられるようになりました。そして実際には売掛債権を買い取らずに担保とし、年利換算で法定上限金利をはるかに上回るような手数料を顧客に対して要求するようになっています。闇金に比べるとはるかに大きな利益が稼げるファクタリングにはその後多くの元闇金業者が参入するようになりました。
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