新型コロナウイルスの影響により、給与ファクタリングの利用を考える方が急増しているというのをご存知でしょうか。
審査のハードルが低く、入金までがスピーディーというメリットがあるため、つい「利用したい!」と思ってしまいますが、最近になって「給与ファクタリングはヤミ金」という判断が下されている事実も存在しています。
今回は、一般的なヤミ金の特徴を振り返りつつ、給与ファクタリングとの違いや利用する前に知っておきたいことについてご紹介いたします。
ファクタリングとヤミ金の違い
昨今は給与ファクタリングでの逮捕者が出たこともあり、メディアでの報道でファクタリングはヤミ金だと思っている方も多いのではないでしょうか。ファクタリングが違法かどうかはヤミ金の特徴とファクタリングの仕組みなどを見比べることが大切です。
ヤミ金業者の特徴
ヤミ金業者のファクタリングには多くの疑わしい特徴があります。まずはヤミ金業者の特徴についてご紹介します。
金利が非常に高額
ヤミ金業者で特に問題になりやすく、利用したことがない方でも「金利が非常に高い」ことが思い浮かぶのではないでしょうか。一般的な貸金業では金利の上限が定められていますが、ヤミ金はその上限を無視しています。
貸金業の登録がされていない業者
貸金業を行うには金融庁に貸金業の登録が必要になります。しかしヤミ金業者の場合、登録を行っておらず無許可で営業を行っています。業者が登録をしているかは金融庁のホームページで確認することができます。
厳しい違法な取り立て
取り立てが非常に厳しいこともヤミ金の特徴です。法によって家族や勤め先に取り立てを行うことは禁止されていますが、ヤミ金業者の場合、家族や親戚であっても見境なく取り立てを行います。
悪質なケースでは取り立てだけでなく、嫌がらせを行う業者もあります。利用者や家族だけでなく、勤め先の職場に何度も連絡を入れられたケースもあるようです。
その他の過去の事例では
・勝手に大量の出前をとる
・パトカーや消防車を呼び出す
・近隣に利用者や家族の評判を落とすようなビラなどを配る、などがありました。
固定電話がない
連絡先が固定電話でなく、携帯電話のみというケースも多くあります。債務者や警察から居場所が特定されないように固定電話を契約しません。
連絡先が090や080、070といった携帯電話特有の番号から始まる場合は用心した方が良いでしょう。
審査や契約が非常に早い
審査が他の金融機関に比べて異常に早いことも特徴です。ヤミ金を利用する人の多くは一般的な金融機関から融資を断られた人や利用ができない人がほとんどです。ヤミ金以外でお金を工面できなくなった人が利用することで弱みに付け込み、借金の負担を多くして半永久的に利息を請求し続けることがヤミ金の目的です。
ヤミ金業者に必要なのは利用者の個人情報だけです。そのため、一般的な金融機関に比べて融資の審査が非常に早くなっているのです。
契約書がない、または契約内容が不明瞭
契約書を渡されない、または契約書の内容を十分に説明してもらえないこともヤミ金の特徴のひとつです。最初から契約を守るつもりがないので、ヤミ金は契約書を用意しません。
振り込みまでに別の作業が必要
一般的な金融機関では融資を受ける際の手順が分かりやすくなっています。無駄な動きがありません。しかしヤミ金では法の抜け穴をくぐらなくてはいけないので、融資を受けるまでの間に買い物をしてツケにする、などの手間がかかる作業があります。
ファクタリング自体は違法ではない?
ヤミ金の手口を知るとファクタリングが違法だと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ファクタリングそのものは違法ではありません。
違法であると判断される基準として、
①利用者や家族に対する厳しい取り立てや嫌がらせをする
②手数料や金利が高額
③貸金業としての登録がされていない
④契約内容が不明瞭、または契約書がない
⑤継続利用を求められる
などが挙げられます。
一般的にファクタリングは売掛債権の譲渡になるので貸金業の登録が不要となっていますが、高金利での融資は貸金業とみなされる可能性が高くなっています。特に個人向けファクタリングは貸金業の登録がないとヤミ金とまでいわれています。
しかし事業者や企業向けファクタリングではその限りではありません。
現在、給与ファクタリングに関する裁判なども行われていますが、給与ファクタリングで違法という判決が出たのは高額な手数料や厳しい取り立てなどが原因のものです。ファクタリング行為自体は法によって違法であると制定されていません。
そのためファクタリングそのものは違法ではなく、契約内容や悪質なファクタリング業者によるものだと考えて良いでしょう。
ファクタリングはなぜ「ヤミ金」といわれた?
違法ではないにも関わらず、なぜファクタリングはヤミ金といわれるようになってしまったのでしょうか。
ファクタリングは業者によって異なりますが、手数料が高額であるケースが多くなっています。金融機関の融資では出資法により年利が20%を上限としており、超えた場合は出資法違反として刑罰の対象になります。
ファクタリングには金利がないものの、手数料が利用した料金の40%などに設定されていることが多く、年利に換算すると非常に高額になります。
仮に最低相場とされる20%とした場合、年利に換算すると240%になります。40%の場合、480%にもなり明らかに違法であることが分かります。さらに高額な手数料をとる業者では年利が1,000%を超えるところもあります。
手数料が高額で返済が厳しくなり、短期間に何度も利用が必要になる可能性があることなどもあり、ファクタリングそのものがヤミ金と思われるようになってしまいました。実際にヤミ金が隠れてファクタリングを行っているというケースも多くあります。最近は給与ファクタリングを名乗るヤミ金業者に注意を促す地方自治体も増えています。
全てのファクタリング業者がヤミ金というわけではありませんが、利用する際は十分用心しておく方が良さそうですね。
給与ファクタリングを利用する前に知っておきたいこと
給与ファクタリングを利用する前に知っておきたい情報をまとめておきました。これから初めて給与ファクタリングの利用を考えている方は参考にしてください。
利用対象者は個人
給与ファクタリングの対象となるのは「個人のみ」です。企業の場合は企業向けファクタリングを利用しましょう。
給与ファクタリングでは個人がもつ給与債権(勤め先から給料を受け取る権利のこと)を一部、第三者であるファクタリング業者に売却することで現金を得る手段です。
そのため、会社員やアルバイトのように収入がなければ利用することができません。定期的に収入があることが利用条件なので、借金が難しい公務員や個人事業主も利用することができます。ただし学生や未成年は利用することができません。
ただし、給与があったとしても安定性がない職業や属性によっては買取を断られることもあります。利用には審査が必要になるので、必要書類は必ず不備がないように用意しておきましょう。
また、個人向けのファクタリングなので金額も少額からOKとなっています。企業のファクタリングでは最低利用金額が数百万円からですが、給与ファクタリングの場合は最低額が1万円など必要な金額だけ利用することができます。
給与ファクタリングは融資ではない
多くの給与ファクタリング業者が「ファクタリングは借金ではなく融資です」と述べていますが、金融庁の見解では給与ファクタリングは貸金業に該当するとされています。
2020年3月に行われた東京地方裁判所での裁判でも「給与ファクタリングは貸金業法にいう貸付に該当する」とされました。融資であるという文言は利用者の抵抗をなくすために用いられたものになります。 信用情報に履歴が残ることはありませんが、給与ファクタリングも借金であることを忘れないでください。
給料日の前に現金が調達できる
給与ファクタリングは給料日前に現金を得ることができます。そのため急な出費があっても安心できるという点が大きな特徴です。
給与ファクタリングは契約から振り込みまでが非常に早いという特徴があります。また土日祝であっても営業している業者も多くあり、年末年始や連休中など一般的な金融機関が営業を行っていないときでも利用することができます。給与前にどうしても現金が必要になったときには最後の手段として活用を検討しましょう。
給与ファクタリングは利用した手数料を給料日に支払うことになるので、懐に余裕があるときに支払いをすることができます。
手数料の相場はやや高め
給与ファクタリングの中で覚えておきたいことが、手数料が高額であるケースが多いという事です。ヤミ金業者の特徴でもご紹介しましたが、手数料は最低でも20%からが相場となっています。高いところでは40%以上することもあるので、頻繁に利用することはおすすめしません。きちんと返済計画を立てたうえで利用することをおすすめします。
なお、手数料は属性や利用状況によっても変動することがあります。一般的には一度の利用料金が高額なほど手数料は安くなる傾向にあります。これは、少額であっても高額であっても一度の利用に必要な審査の内容が変わらないので、高額であるほどファクタリング業業者の利益になるからです。また、過去に利用したことがあって、ある程度信用がある場合はファクタリング業者が融通してくれることもあります。
信頼できる業者はどう探す?
悪質なファクタリング業者や、ヤミ金の運営するファクタリング業者にひっかからないためには各業者の比較を徹底しておくことが大切です。
業者比較サイトをチェックする
給与ファクタリング業者のまとめや比較を行っているサイトでは多くの情報が集まっています。実際の利用者の声を載せているところも多くあるので、対応など公式サイトで知ることができない情報を得ることもできます。
業者の比較には手数料のほか、利用できる料金の確認、手数料の支払日、審査に必要なもの、振り込みまでのスピードや営業時間について調べておくと良いでしょう。
また、企業情報で代表者氏名や会社の住所が明記されているかの確認も忘れずに行ってください。 比較をする際も2社のみなど少なすぎる比較はおすすめしません。最低でも4社ほど比較をすることで、手数料の相場などが分かるようになります。多すぎると今度は比較が大変になりますので、4~6社ほどで比較することをおすすめします。
金融庁のサイトで登録を確認する
金融庁の公式サイトでは貸金業の登録を行っている業者かを確認することができます。利用したい業者がある場合は金融庁のサイトで必ず調べましょう。
業者が登録しているかはコチラから確認することができます。情報が少ない場合でも企業名や代表者氏名、電話番号だけでも確認が取れます。
現在、金融庁の見解では給与ファクタリングは貸金業であるとされています。ファクタリング自体は給与債権の売買になるので貸金業の登録は必要ありませんが、給与ファクタリングは貸金と判断されている以上、登録がある業者の方が安心して利用できると考えられます。
契約書の中身を確認する
給与ファクタリングは基本的に店舗がないので、電話やメール、メッセージアプリなどで連絡を取ることになります。そのため、自宅に封書が届くこともありません。
オンラインでのやり取りがメインになると契約書も電子契約書になりますので、目の前でスタッフに分かりやすく説明をしてもらえる状況ではなくなります。そのため、トラブルを回避するために自分でよく確認して理解することが必要です。
契約書には多くの専門用語や難しい言葉が使われているかもしれませんが、読み飛ばして契約をすることは非常に危険です。もし分からないことや質問があれば、必ず業者に質問をして疑問を残さないようにしましょう。質問をした際にはぐらかされたり、誤魔化された場合は信頼できる業者とはいえません。必ず最初から最後まで目を通し、データは自分でも保管しておくことをおすすめします。
最近は給与ファクタリングの問題などが報道されていますが、ヤミ金の隠れ蓑になっていることが原因です。優良なファクタリング業者もありますので、まずは各業者の比較から行いましょう。