資金繰りが厳しいときに利用できる資金調達方法の一つがファクタリングです。しかし、ファクタリングは悪質な業者がいることもあり、本当に安心して利用できるのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。ファクタリングは業者選びが非常に重要です。
そこで今回は、ファクタリングの評判と併せて業者選びの方法をご紹介します。ファクタリングを利用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ファクタリングとは
まずはファクタリングがどのようなものかをご紹介します。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金や受取手形などの売掛債権をファクタリング会社に売却することで、資金を調達する方法のことです。ファクタリングは2種類あり、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」に分けられます。
もともとは欧州で広く使われていた貿易・金融のシステムで、日本では手形取引のほうが普及していたため、それほど認知されていませんでした。しかし、最近は日本でも経済や流通が発達したことにより、ファクタリングを利用する企業が増えました。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングは、企業とファクタリング業者間のみで契約を結ぶ方法です。
この取引では、契約締結後にファクタリング業者から手数料を除いた売却金額を受け取ります。その後、取引先からの入金があり次第ファクタリング業者へ支払いを行います。
2社間ファクタリングの場合は取引先にファクタリングを利用していることを知られないため、経営状況が悪化していることを不安に思われる心配がありません。
また、2社間での取引になるので契約もスムーズに進められます。
3社間ファクタリングとは
3社間ファクタリングは、企業とファクタリング業者以外に取引先の3社で契約をする方法です。3社間で取引をするので、支払いはすべてファクタリング業者を通して行います。ファクタリング業者への支払いは取引先が直接行うため、ファクタリング業者にとっては未払いのリスクが少ない取引方法と言えるでしょう。そのため、2社間に比べると、3社間は手数料が安く設定されていることが一般的です。
ただし、2社間に比べると審査に時間がかかるなどのデメリットもあります。そのため、資金化を急ぐ場合は2社間のほうが早くなることを覚えておいてください。
銀行融資との違い
ファクタリングは売掛債権の買取サービスなので銀行融資とは異なります。審査方法にも違いがあり、銀行融資では緊急時に利用したい場合でも審査の時間が数日から数週間かかることが一般的なので難しいでしょう。しかし、ファクタリングは売掛債権を売却するため、すぐに資金を用意することが可能です。
また、担保や保証人などが不要で利用できるところも大きな違いです。
ファクタリングは融資ではないので、貸金業登録をしていなくても運営できます。ただし、3社間ファクタリングを行う場合は貸金業登録が必要とされています。
ファクタリング業者の中には悪質な業者も存在するため、3社間ファクタリングを利用する場合は貸金業登録がされているのかを確認しておきましょう。
ファクタリングのよい評判
ファクタリングは利便性に優れており、多くのよい評判があります。
スピーディーな現金調達
先述したように、ファクタリングでは早急にまとまった資金を調達することができます。早いところでは即日の振り込みもあり、融資が間に合わない場合でもファクタリングであれば間に合うこともあるでしょう。
業績に関係なく資金調達が可能
銀行の融資では利用時に厳しい審査があります。その審査には企業の業績も影響するため、あまり業績がよくない場合は利用できないこともあります。ファクタリングにも審査はありますが、審査内容が銀行融資とは異なるため、比較的利用しやすいのが特徴です。
倒産リスクが下がる
ファクタリングは一部の条件を除き、取引先の倒産や業績悪化により利用金額が受け取れなかった場合、対価を返金しなくてもよいという契約になっている業者が多く存在します。
もし取引先が倒産すると、ファクタリング業者と利用者側のどちらかがファクタリングで利用した金額を負担しなくてなりません。利用時には万が一のことを想定し、契約内容をよく確認しましょう。
信用情報に影響がない
ファクタリングは銀行融資とは異なり、売掛債権の売却です。そのため、銀行融資のように信用情報に利用した旨が記載されることはありません。将来銀行融資を利用したい場合に備えられるだけでなく、取引先に不安を与える心配もないというメリットがあります。
保証人や担保なしで利用できる
融資では一般的に保証人や担保が必要ですが、ファクタリングは保証人および担保が不要です。反対に必要と言われた場合は悪質な業者である可能性があるため、十分注意してください。
融資に比べて審査が通りやすい
先述したようにファクタリングにも審査があります。しかし、銀行融資に比べて審査の時間は短く、審査基準も緩いので比較的通りやすいでしょう。
ファクタリング業者によっては、得意な業界や中小企業対応/個人事業主対応などさまざまな違いがあるので、条件に合致するファクタリング業者を選ぶことが大切です。
ファクタリングの悪い評判
反対にファクタリングには悪い評判もあります。以下で紹介するポイントを理解したうえで利用を検討してください。
手数料が高額
ファクタリングは融資ではないので、利子は発生しません。しかし、代わりに利用手数料がかかります。手数料は利用金額やファクタリング業者によって異なるため、実際に見積もりをとるまで具体的な金額がわかりません。手数料は融資の金利に比べると高額なことがあるので、手数料についてはよく確認しておきましょう。
ファクタリングは年利20%を守る必要はありませんが、20%を超えるとかなり高額な手数料になってしまいます。そのため、10~20%で利用できるファクタリング業者がおすすめです。
契約内容によっては取引先に不安を与える
ファクタリングは業者や売掛債権の種類によって契約の詳細が異なります。特に3社間ファクタリングは取引先を交えての契約になるので、契約をすることで資金繰りが悪化しているのか懸念されてしまう可能性があります。取引先からの信用を失わないためにも、事前に取引先へきちんと説明をしておくなど注意が必要です。
審査に落ちる可能性がある
審査が緩いといっても、当然必ず通るというわけではありません。特に、売掛債権の信用性が低いと判断された場合は、断られる可能性があります。断られなくても、高額な手数料が設定されかねません。
ただし、ファクタリング業者はそれぞれで審査基準を設けているので、1社で審査に落ちても他社であれば通る可能性があります。不安な場合は複数のファクタリング業者をピックアップしておきましょう。
利用できる金額に制限がある
ファクタリングで利用できる金額には上限があります。上限額は売掛債権と同等の金額ですが、注意すべきは手数料を含めた金額であるという点です。また、ファクタリング業者によっては対応している金額が異なります。そのため、利用したい金額に対応している業者かどうかも公式サイトなどで事前に調べておきましょう。
債権譲渡登記が行われることがある
債権譲渡登記とは、債権譲渡の事実を法務省に申請して登記を行うことです。登記をすると、ファクタリングを利用したことが第三者に知られてしまうリスクがあります。登記の閲覧は誰でもできるようになっているため、取引先に調べられた場合はファクタリングの利用が知られてしまうことになるでしょう。また、手続きにも時間や手間がかかるだけでなく、費用が発生します。ファクタリングを利用する際は、債権譲渡登記があるのか確認しておくことをおすすめします。
ファクタリングは本当に安全?
なかにはファクタリングが本当に安全なのか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。こちらでファクタリングの法的根拠についてご紹介します。
ファクタリングの法的根拠
ファクタリングについては民法466条1項、民法第555条の2つに記載されています。こちらでは債券は譲渡できる旨が記載されており、売却することもできるとされています。譲渡禁止の事項があったとしても譲渡ができることも記載されており、ファクタリングで業者に譲渡することが民法において認められていると解釈できる内容です。
また、日本は資金調達方法として、ファクタリングを推奨している国でもあります。そのため、ファクタリングそのものに違法性はなく、安心して利用することが可能です。
ファクタリングに悪いイメージがある理由
国も推奨する資金調達方法であるにもかかわらず、ファクタリングに悪いイメージがあるのは、個人向けファクタリングが理由です。
個人向けファクタリングは、「給料ファクタリング」という名前で給料債権を売ることで、給料を支払日よりも早く手に入れることができるファクタリングです。しかし、給料ファクタリングは実際には貸金と変わりなく、ヤミ金と同じという裁判判決が下されました。給料ファクタリング業者の中には逮捕者が複数出ているため、ファクタリング全体のイメージがマイナスになったと考えられます。
ファクタリング業者11社の口コミ紹介
優良なファクタリング業者を見つけるには、口コミの評判を参考にするのも大切です。
ここでは11社の口コミをご紹介いたします。
アクシアプラス
ラインを利用できる手軽さが便利だと思います。ヒアリングでは手数料を抑えたプランや少額買取プランなど、3つのプランを教えてもらいました。保証人が不要なのに加えて面倒な書類作成を任せられたので、時間の節約にもなると思います。急な相談にも快く対応してもらえましたし、やっぱり即日で現金が調達できるのはとても助かりますね。通過率も高いので、ファクタリングを利用するのが初めての人にも使いやすいのではないでしょうか。ただ、オンラインだけでは実際の手数料がわかりにくいので、確認する手間は必要だと思います。(40代・男性)
ファクタリングのTRY
オンライン申し込みができるので、急いでいるときには非常に心強いです。設立間もない会社でも対応してもらえるようなので、他社で断られた方にもおすすめです。審査や入金への対応が素早く、2社間と3社間のどちらも手数料が業界最低水準の5%〜なので、初めてでも不安を感じることは少ないと思います。サポート体制も強力で、24時間対応のホットラインがあるのは安心でした。こちらだけではありませんが、利用目的はビジネスを前提にしている必要があるみたいですね。(30代・女性)
ベストファクター
担保や保証人が不要なうえに審査の通過率/買取率ともに業界トップの90%以上なので、誰でも気軽に利用できると思います。審査は即日で、翌日には入金が確認できました。償還請求権がないので債権の回収が難しくなったときも安心ですし、何より2社間だと取引先にバレずに利用できるのがありがたいです。スタッフの対応も親切で、依頼すれば出張面談にも応じてもらえますが、対応時間が平日10時〜19時なので時間の調整が必要かもしれません。(50代・男性)
ウィット
いろいろな買取を実施しているようですが、取引先に知られない2社間を選びました。大手だと相談しにくい小口債権を専門に取り扱っていたので、中小企業の立場からすると利用しやすかったです。審査から入金まで電話かメールだけで済むという点もありがたかったです。審査したその日のうちに入金が確認できたので安心できました。
一つだけ言うと、受付が18時までなので、オンラインでも利用できると便利かなと思います。(40代・男性)
ビートレーディング
取引実績の数とリピート率の高さを見ても、信頼性の高さは折り紙付きです。2社間や3社間の他にもいろいろな買取があり、幅広いニーズに対応していると思います。対応も丁寧で安心して依頼することができました。審査がとても早く、その日のうちに資金を調達できますし、必要書類は最低限のものだけという手軽さもよかったです。経営コンサルティングもあるので助かりますが、ファクタリングだけを利用したい方にとっては少々堅苦しいかもしれません。(50代・男性)
ファクターズ
審査のスピードが早く、思っていたよりもすぐに現金を調達できました。手続きはオンラインだけで済みましたし、わからないことがあればファクタリングのプロに電話で相談することもできるので安心でした。ですが、電話は平日の9時〜19時だけなので、日中時間を取れない人は注意が必要かもしれません。保証人や担保が不要でノンリコース、債権譲渡登記をすることなく利用できるので、人に知られてしまうリスクが少ないのも嬉しかったです。(40代・男性)
anew
大手銀行がバックについているので信用度はかなり高いです。手続きはオンラインだけで完結できるので便利ですし、審査や支払期日への対応も柔軟でよかったです。入金は契約から約1日ととても早くて助かりました。利用できるのは2社間だけですが、手数料が2〜9%と他社に比べてかなり安く、利用しやすいと思いました。見積もりが24時間以内に出るのもよかったです。法人向けなので、買取額は数百万円からと少し敷居の高い印象がありますね。(40代・女性)
PMG
取引実績が多く、ユーザーからの評判もよかったので利用を決めました。ファクタリングには安心感と満足度が大切ですからね。審査には3日ほどかかりましたが、通ってしまえば入金はその日のうちに完了するので、金融機関に融資をお願いするよりも早く支払いができてよかったです。プライバシーマークがあるところも信頼できると感じました。スタッフの対応が丁寧で安心して相談できましたが、強いて言えば、もう少し手数料が低ければ…という感じですね。(40代・男性)
QuQuMo
2社間ファクタリングで先方に気付かれにくく、債権譲渡登記も不要だったので安心して利用できました。すべてオンラインでのやりとりだったのでスマートでしたし、入金もホームページにあった通り早かったです。必要な書類も少なく、準備に時間も手間もかからないので早急に現金が必要な方にとってはありがたい存在と言えますね。審査もあっという間でしたし、こんなに簡単ならまた利用したいと思います。ただ、手数料1%〜とうたっているものの、実際は他社よりも高いです。(40代・男性)
GMO
法人向けファクタリングの他にフリーランス向けもあるんですね。オンラインでの申し込みに多少の不安を感じたものの、大手が絡んでいるということで信頼感はありました。手数料も安めに設定されているので、リピートしたいと思います。審査から入金まで2日ほどとのことでしたが、実際はもう少しかかった気がします。ただ、初めは入金専用の口座を別途開設する必要があるという点に若干違和感がありました。(30代・男性)
PAYTODAY
上限が記載されていないファクタリングも多いので、手数料の上限が9.5%というのは利用者にとって大きな安心感があります。スマホから申し込めて手続きも簡単にでき、審査から入金までほとんど時間がかかりませんでした。入金された後の連絡が少し遅かったのと、電話で手数料を問い合わせたときにハッキリした額を提示してもらえなかった点に少し不満を感じましたが、スピードや利便性を考えると次回も選択肢に含めてもいいのかなとは思います。(40代・男性)
ファクタリング業者の選び方
ファクタリング業者の選び方は下記のポイントを参考にしてみてください。
ファクタリングの方式
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングはそれぞれメリットとデメリットがあります。業者によってはどちらかの方式にしか対応していないこともあり、利用前には希望する方式に対応しているのかを確認しておく必要があるでしょう。
手数料
手数料は各業者で異なります。しかし、ほとんどの業者において、実際の手数料は見積もりをしなければわからないことが一般的です。そのため、実際に見積もりをとってから比較するようにしましょう。
振り込みまでのスピード
ファクタリングを利用したいと考えている方の多くは、振り込み速度を重視していると思います。特に、最短即日など振り込み速度を強みとしている業者に依頼することをおすすめします。
買取率
ファクタリング業者によっては利用希望者の審査通過率を掲載していることがあります。買取率が高い業者であれば審査通過率も高く、利用できる確率が高いと考えられます。
そのため、公式サイトなどで掲載されているかを先に確認しておきましょう。
これまでの実績
公式サイトをチェックする場合は業者の実績も確認しておきましょう。いつ創立した業者なのか、これまでどれくらいの取引実績があるのかを見ておくことをおすすめします。
償還請求権
償還請求権とは、万が一取引先が倒産した際は、利用企業側がファクタリング業者への支払いを負担するという権利です。償還請求権がない場合は、売掛金の支払いがなかったらファクタリング業者に支払いをしなくて済みます。ただし償還請求権がある場合、ない場合と比べると手数料が安くなります。状況に合わせて選ぶようにしましょう。
審査が柔軟
売掛債権の信用力が低い場合は、審査など柔軟に対応してもらえる業者に依頼することが大切です。ファクタリング業者によって審査基準が異なるので、まずは相談してみましょう。
悪質なファクタリング業者の見極め方
ファクタリング業者の中には悪質な業者が存在します。悪質な業者の特徴をこちらで6つご紹介します。
必要書類が少ない
必要書類が少ないと審査の手間を省くことができるため、メリットに感じるかもしれません。しかし、必要書類が極端に少ない場合は悪質な業者の可能性があります。情報を転売されるなどのリスクもあるので、注意しましょう。
会社の情報が不足している
公式サイトを見ても、代表者氏名や会社の住所が不明な場合は悪質な業者である可能性が高いでしょう。一般的な企業であればこれらの情報は隠す理由がありません。連絡先が携帯電話しかない場合も注意してください。
手数料が高額
手数料が高額な場合や、使用用途の不明な手数料や消費税を請求された場合も注意しましょう。最近はこのような虚偽の請求は減っていますが、ファクタリングをこれまで利用したことがないと騙されてしまう可能性があります。
利用時には費用明細書を発行してもらうようにするとよいでしょう。
償還請求権がある
先述したように、償還請求権があると取引先が倒産などで支払いができなくなった場合、ファクタリング利用企業がファクタリング業者に支払いをしなくてはなりません。償還請求権があっても優良な業者はありますが、説明が不足していたり強引に契約を迫られたりした場合は注意してください。
分割払いに対応している
ファクタリングの支払いを分割払いにしている場合、利用者が期限の利益を得ることになるので貸金と見なされます。そのため、ファクタリングの支払いが一括払い以外にある場合は貸金業登録が必要です。
担保や保証人が必要
ファクタリングで担保や保証人が不要な理由は貸金ではなく、債権の買取だからです。そのため、担保や保証人を必要としてくる場合は、悪質な業者の可能性が高いと考えられます。
まとめ
ファクタリングの業者は多くありますが、自社にあった業者を選ぶことが満足な契約をするために必要です。どんな業者を選べばいいかわからない場合は、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に検討してください。
また、万が一悪質な業者やトラブルがあった場合は速やかに専門家に相談するようにしましょう。