銀行・信用金庫サービスの盲点
公開日:2020.05.29
最終更新日:2022.03.28
銀行や信用金庫の貸付サービスはファクタリングに比べると多くの資金を調達できたり、ファクタリングの手数料よりも低い金利で長期間借入可能などのメリットがあります。しかし、その一方で利用に際しては盲点ともいえるデメリットや注意すべきポイントがあることも事実です。今回はそのような銀行や信用金庫の貸付サービスでしっかりと検討しておきたいポイントを中心にお伝えしていきます。
急な資金需要に対応できない
銀行や信用金庫では融資申し込み後の審査に時間がかかるため、急に資金が必要になっても対応できません。銀行や信用金庫に借入の申し込みをおこなった場合、審査担当者による審査が始まります。
その間、融資担当者は業界動向・競合他社や財務状況の分析に始まり、経営者の属性や資質まで幅広く審査し、稟議書を起こして支店内の役職者から副支店長、支店長という順に決済してもらいます。また申込み金額によっては支店長の権限だけでは決済できず、本部の融資部門の審査と決済が必要な場合もあります。
このように審査には借入希望額やその企業の財務内容や経営状況にもよりますが、非常に時間がかかります。中には1カ月以上待ったにもかかわらず、融資が断られるということも頻繁に起こっています。
もし、断られた場合にはまた別の資金調達方法を最初から模索し始める必要があり、多大な労力と時間を要します。資金力がある企業であればそれでも問題ないかもしれませんが、資金調達を必要とする中小企業や零細企業の場合、それほどの時間的なゆとりがないのが常です。
このような場合、売掛債権を売却して資金調達できるファクタリングを利用すると急に資金が必要になった場合に好都合です。特に2社間ファクタリングと呼ばれるサービスならファクタリング会社にもよりますが、申し込んでから審査に通れば最短で即日または翌日には資金を入金してもらえます。
バランスシートの肥大化とROAの悪化
銀行や信用金庫から借入をおこなうと負債の増加によってバランスシートを肥大化させてしまう点にも注意が必要です。バランスシートの肥大化は「ROA」と呼ばれている「総資産利益率」も悪化させる要因になります。
ROAとは「ROA=利益÷資産×100」という式から算出できます。ROAは「保有している資産でどれだけの利益を生み出したか」を測る代表的な財務分析手法の一つです。借入をおこない現預金が増えるということは、資産項目と負債項目の両方が増え、ROAは悪くなります。ROAが悪くなると非効率な経営をおこなっていると判断される要因になり、その後の金融機関からの資金調達に影響することになります。
ファクタリングを利用した場合、この状況とは反対にバランスシートをスリム化し、ROAも良くなります。ファクタリングを利用して売掛債権を売却して資金が提供されると「売掛債権の減少」と「現預金の増加」という結果になります。手数料や掛目の影響を除けば、この取引はほぼ売掛債権が現預金に変わっただけともいえるでしょう。
つまり、ファクタリングで資金調達してもバランスシートに影響を与えることがありません。また、調達した資金で既存の借入を返済すれば、現預金と負債の両方が消えてバランスシートのスリム化を実現できます。バランスシートのスリム化をするとROAが良くなり、結果として今後の金融機関の与信にも好影響を与える場合があります。
融資申し込み企業の信用力や財務状況などが問われる
銀行や信用金庫の融資審査では申し込んだ企業の信用力やこれまでの財務状況などが詳しく分析されます。そのため様々な資料の提出が必要になってきます。例えば、収入を証明する書類として直近2期分以上の確定申告書や決算書、源泉徴収票、課税証明書などが必要になります。また事業関連の書類として事業計画書や資金計画書、借入申告書なども求められます。
将来の事業収益見通しも重要ですが、より重要なのが過去の業績になります。その点、決算を一度も迎えたことのないスタートアップ企業などの場合、銀行や信用金庫の審査は非常にハードルが高いといえるでしょう。
その点、ファクタリングの場合には利用企業の業績や信用力よりも売掛先企業の信用力や支払能力が審査されます。従って赤字続きの企業でも売掛債権に問題がなければ、すぐに資金調達が可能になります。
銀行の「貸し渋り」と「貸し剥がし」に遭うリスク
銀行を利用する場合に覚えておきたいのが、「貸し渋り」や「貸し剥がし」についてです。貸し渋りとは、銀行を中心に金融機関が融資を申し込まれた場合に融資条件の面で特に問題なかったとしても新規の融資や融資金額の増額を断ることを指します。
一方、貸し剥がしは、既に借入中の融資を返済期日が到来する前に貸付金の全て、あるいは一部について返済してもらうことです。銀行は「BIS規制(新BIS規制)」と呼ばれているルールによって、一定以上の自己資本比率の維持が常に求められています。自己資本比率を維持したり、下がりつつある場合にそれを上げるのには、「自己資本額の増額」か「総資産の圧縮」のいずれかが必要になります。
貸し渋りや貸し剥がしは貸出残高(銀行側の資産)を減らすことですので、総資産の圧縮になります。この貸し渋りや貸し剥がしはバブル経済が崩壊した時もリーマンショックの時にも起こり、多くの企業が倒産の憂き目に遭いました。
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